[Warframe]ストーリー解説:「新たな大戦」

[Warframe]ストーリー解説:「新たな大戦」

Warframeストーリー解説、今回は「新たな大戦」についてです。総プレイ時間、目安で5~6時間ぐらいでしょうか。これまでにない大長編のクエストになります。

遂に太陽系への大規模な再侵攻を開始したセンティエント。全面戦争が勃発します。その行く末やいかに―――。

というわけで、さっそくやっていきましょう。

前回のおさらい

センティエントNATAHとなったLOTUSは、弟のERRAと、センティエント化したBallasによって拘束。センティエント勢力の実権を握ったERRAとBallasは、太陽系への大規模侵攻を開始しました。

Warframeストーリー解説動画

ストーリー解説動画も作りました。クリックで当該箇所から再生

クエスト「新たな大戦」のあらすじ

第一幕

遂にセンティエント勢力が、太陽系への大規模侵攻を開始した。グリニア、コーパス、そしてテンノらが連合し、センティエントに立ち向かう。

BallasとERRAの座すセンティエント艦隊旗艦に単身潜入するTeshin。しかしERRAとの戦いに敗れてしまう。駆けつけるテンノ。そこには拘束されたNATAH=LOTUSの姿もあった。Ballasはテンノの目の前でLOTUSから力を奪い取るとVOIDトンネルを開く。そして、力を失ったLOTUSをVOIDトンネルに放逐してしまう。啞然とするテンノも隙を突かれ、奪われたPARACESISで胸を貫かれると、VOIDトンネルに放逐されてしまった。

第二幕

人類は敗北した。太陽系のほぼ全域が、BallasとERRAの支配勢力「ナルメル」の制圧下に置かれてしまった。人々は「ベール」と呼ばれる洗脳装置を強制的に装着され、洗脳されてBallasに忠誠を誓っている。グリニア、コーパス、オストロン、ソラリス…いずれも壊滅してしまった。

そんな情勢下で、「漂流者」と呼ばれる人物が一人、レジスタンス活動を行っている。囚われた人々を解放する漂流者。しかし、「アルコン」と呼ばれる、Warframeの身体を持った異形の怪物に襲われる。間一髪で危機を逃れた漂流者。その姿は、オペレーターが大人になったかのように瓜二つだった。

漂流者は、地球に停泊したオービターを拠点とし、Ordisと共に行動している。しかし、Warframeを操る力も、フォーカス能力も無い。自身もまた「オペレーターではない」と主張している。

オービターの後部、ソマティックリンク装置に座しているのは、エイドロン(曖昧なエネルギー体)と化したLOTUS=NATAH。このままでは彼女は消滅してしまう。LOTUS=NATAHを救う方法を探すため、漂流者は海底に眠るセンティエントHunhowの元を訪れる。

LOTUS=NATAHを救うためには、「アルコン」を倒し、その欠片を入手する必要がある。Hunhowは漂流者に、アルコンの情報と強力な武器を授けた。

第三幕

視点は過去に切り替わる。在りし日の宇宙船Zariman。学生たちがセファロンから講義を受けている。「現在主義理論」と「永遠主義理論」。二つの時空論について。講義の途中、艦内アナウンスが流れ、ZarimanのVOIDエンジンが始動する。

―――物語の視点は、再び現在へ。漂流者は一体目のアルコンを倒し、欠片を手にする。入手した欠片をLOTUS=NATAHに与えると、彼女は少しだけ力を取り戻すが、極めて攻撃的な反応を見せる。戸惑いつつも、さらに欠片を集めるべく、漂流者は二体目のアルコンの元へと向かう。

―――そして視点は再び過去へ。宇宙船Zarimanの一室で、バリケードを築き、避難する子ども達。外からは叫び声が絶え間なく響く。VOID航行の事故が発生し、船内は混乱に陥っているようだ。避難した仲間たちを励ますテンノは、部屋の片隅に自分とそっくりの人物=「壁の中の男」を見つける。

―――視点はまた現在へと切り替わる。二体目のアルコンを撃破し、欠片を手に入れた漂流者。それをLOTUS=NATAHに与えると、彼女は不安定ながらも、さらに力を取り戻す。しかし、人格は完全に凶暴化していた。

―――過去のZariman。「時間切れだ。自分なら全員を助けられる」。戸惑うテンノに呼び掛け、握手を促す「壁の中の男」。一方、現在の漂流者は、凶暴化したLOTUS=NATAHに追い詰められていた。過去のテンノが「壁の中の男」の手を取る。瞬間、あらゆる可能性に分岐したテンノ達が倒れ、オペレーターと漂流者の二人が残る。二人は手を取り、存在が統合される。

その瞬間、LOTUSに追い詰められた現在の漂流者は、VOID能力を得てLOTUSの攻撃を防ぐ。爆発が生じ、土煙の中から姿を現したのは、VOIDトンネルに放逐された現在のオペレーターだった。

現在のオペレーターの姿を見たLOTUS=NATAHは落ち着きを取り戻す。「自分が何者かはわからないが、何をすべきかはわかる」と言い残し、飛び去ってしまう。

第四幕

Ballasは苛立っていた。テンノが復活したためだ。次こそはとどめを刺すべく、Ballasは一計を案じる。

一方その頃、オペレーターは宇宙船Zarimanを訪れていた。VOIDに浸食され、無人の廃墟となったZariman。人影に誘われ、オペレーターは漂流者と対面する。

漂流者は語る。「自分は、ここから救出されなかった自分」。Zarimanから救出された世界線の自分がオペレーターで、救出されなかった世界線の自分が漂流者だ。異なる世界線の同一人物であるため、同じ世界線に同時に存在することはできない。ここから先は「漂流者」か「オペレーター」か、どちらかの自分を選ばなければならない。(※プレイヤーの選択により変わる)

第五幕

選ばれた漂流者/オペレーター=テンノは、オービターに戻る。テンノとしての力は完全に取り戻し、Warframeもフォーカス能力も扱える。

LOTUS=NATAHがBallasを追っていることと、それがBallasの罠であることをテンノは察知する。まだ不完全なLOTUS=NATAHの危険を察し、彼女を止めるべく追跡を開始する。

シータスからUNUMの塔を登り、センティエント艦に侵入するテンノ。LOTUS=NATAHは、止まることなくBallasへと向かう。彼女はBallasの企みを明かす。Ballasは周囲のすべてを吸収して力に変える艦「Praghasa」を使い、太陽を消滅させようとしている。

太陽に向かう「Praghasa」を、クルーシップで追跡するテンノ。ネクロメカで「Praghasa」に突入すると、そこにはERRAの姿があった。ERRAは「自分が間違っていた」と認めると、Ballasを阻止すべくテンノと共に行動する。

ERRAは自らを犠牲にし、テンノに道を開く。テンノは残された三体目のアルコンを撃破し、欠片を手にすると、Ballasの元へと向かった。

最終局面

Ballasと対峙するNATAH=LOTUSとテンノ。しかし、Ballasは圧倒的な力でもって一切の攻撃を寄せ付けず、二人を翻弄する。追い詰められるNATAH=LOTSUとテンノ。しかし隙を突いたテンノが、Ballasにベール装置を装着させる。

ベールの見せる幻覚により、NATAH=LOTUSに在りし日のMargulisを見るBallas。我を失い、彼女に愛を呼び掛ける。自分がMargulisに誤認されていることを察したNATAH=LOTUSは、Ballasと口付けを交わし、そしてBallasからエネルギーを吸い取ってしまう。

全てのエネルギーを奪われ、Ballasは倒れた。

その次の瞬間、Ballasが開いていたVOIDトンネルから、巨大な人体のレリーフをあしらった謎の壁と、「壁の中の男」が出現する。「壁の中の男」は笑い声をあげると、そのまま姿を消した。

終幕

新たな大戦は終結した。復活したLOTUSは、自分がNATAHであり、そしてMargulisでもあり、LOTUSでもあることを明かす。

Ballasの支配は終わったが、ナルメルの残党はまだ残っている。テンノ達の戦いは続く。

クエスト「新たな大戦」の解説と考察

非常に難解なストーリーです。特にわかりにくいのは、上記の第二幕~第三幕~第四幕の展開ですね。オペレーターと漂流者、この人たちは何なのか。第三幕で起きたことは何だったのか。壁の中の男は一体何をしたのか。この辺りが難しい部分になってきます。

現在主義理論と永遠主義理論

物語を読み解くヒントは、過去のZarimanで描かれる授業の場面にあります。この授業では、現在主義理論と永遠主義理論について語られています。

過去、現在、そして未来という一直線の時間軸の中で、今ここにある(観測できる)現在だけが実在性を持つと考えるのが、現在主義理論。我々プレイヤーの一般的な肌感覚に近いですね。

一方、永遠主義理論においては、過去、現在、未来が等しく実在性を持ちます。従って、可能性によって分岐した複数の世界線もまた、等しく実在性を持つ、というのが普遍的な観点になる宇宙論です。

そのため、「両親のどちらかが命を落としてしまう」思考実験では、母親が生き延びて父親が死ぬ世界線も、父親が生き延びて母親が死ぬ世界線も、どちらも普遍的には等しく実在していることになります。

ただし人間は、単一の世界線における現在しか観測できないため、どの世界線に生きるのかを選択する必要がある…とされています。まあ、能動的な選択が可能かどうかは別としても、「我々に観測できないだけで、過去・現在・未来も、異なる世界線も、等しい実在性を以て存在している」という世界観ですね。

漂流者の正体と、「壁の中の男」による因果律への介入

Zarimanが事故に遭った後、何らかの原因で、世界線が分岐しました。Zarimanからテンノ達が救出される世界線と、救出されない世界線です。救出されたほうがオペレーターになり、救出されなかったほうが漂流者になります。

ちょっと雑ですが図示してみましょう。

まずZarimanの事故のあと、テンノの世界線は「A:救助された世界線」と、「B:救助されなかった世界線」に分岐しました。救助された世界線AのテンノはWarframeオペレーターになり、その後、「新たな大戦」序盤でVOID空間に放逐されます。VOID空間はおそらく…考察ですが…いずれの世界線からも独立しているため、世界線Aのテンノが、世界線Aからはじき出されたわけですね。

一方、救助されなかった世界線Bのテンノは、「漂流者」になります。そして、世界線AのテンノがVOIDに放逐されたことで、世界線Aにはテンノの存在が無くなったため、「漂流者=世界線Bのテンノ」が世界線Aに存在できる“空白”のようなものが生じたと考えます。

そのため漂流者=世界線Bのテンノが世界線Aで活動できており、これが「新たな大戦」作中前半の漂流者というわけです。

そして上記の図上、点線で表されているのが、「壁の中の男」による因果律への介入です。Zariman事故当時のテンノに「壁の中の男」が介入したことで、その影響が何らかの形で…時間軸と世界線を超越して…【VOIDに放逐された現在のオペレーター】と、【世界線Aに存在する現在の漂流者】とに波及し、この両者が…他の世界線のテンノを押しのけて…統合された。

このような考察が成立するのかと思います。

「同一の存在は同一の世界線に同時に存在できない」と仮定すると…おそらく作中の描写からそうだと思いますが…こういった流れになるんじゃないかなと。

まあ、いずれにしても、これでオペレーターは「オペレーターでもあり漂流者でもある」状態になったわけですね。

VOID空間は、あらゆる世界線と時間にアクセスできるのでは

こうして考えてみると、VOID空間は、あらゆる世界線と時間にアクセスできる、一種のハブ(交差点?)のような空間ではないかと思います。永遠主義理論においては、過去・現在・未来、そしてあらゆる世界線が等しく実在していますが、一人の人間が観測できるのは、そのうち一つの世界線の現在だけです。しかしVOIDにおいては、等しく実在する過去・現在・未来のあらゆる場面、あらゆる世界線が「一つ」になっており…『全てを一つに』…そのいずれにも自由にアクセス/介入できる可能性がある、と仮定してみましょう。

そして、「壁の中の男」もVOIDに由来する存在だと考えると…これも作中で示唆されていますが…、「壁の中の男」もまた、あらゆる時間、あらゆる世界線にアクセス/介入できる、因果律を超越した存在ではないかと思われます。

最後に出てくるデカい壁は何なのか

さて、このクエストの最大の謎は、一番最後に唐突に出てくる、あのデカい壁かもしれません。本当になんの前触れもなく出てきます。壁の上に乗っているのが「壁の中の男」だとはわかりますが、デカい壁自体は、これまでなんの言及もなかった…と思いきや。

実は、あの壁の正体を示唆する情報が、既に作中に登場しています。

ダイモスのネクロリスク、「ネクラロイド」シンジケートの奥にある、A・エントラティの残した記録です。エントラティ家の祖父となる人物で、作中では既に他界している人物ですが、VOID時空論を確立した天才科学者のようです。

この記録を見ると、A・エントラティがVOID時空の観測実験を行った際に、「壁の中の男」と遭遇しているようなんですね。そして、そこから脱出する際に、「壁の中の男」の指を一本、切断しているようなんです。

そして、「新たな大戦」ラストで出てくる巨大な壁。この壁には、四本の腕を持つ巨大な人物のレリーフが施されていますが、右から二本目の手の人差し指がありません。つまり、この巨大な壁こそが、「壁の中の男」の本体(?)であり、人差し指が一本無いのは、A・エントラティの邂逅の際に切断されたから、という考察が成り立ちそうです。

なお、この時に切断されたであろう指は、後の「Zarimanの天使」クエストで垣間見ることができます。

果たしてNATAH=LOTUS=Margulisなのか?

もう一つ視点を変えて、LOTUSの正体についても考察していきましょう。LOTUSの正体が、元々センティエントのNATAHであることは既に明らかです。ではMargulisは?

クエストの最後で、「NATAHでありLOTUSであり、Margulisでもある」と本人から語られているため、同一人物と見て良いと考えることができます。が、それだと一つ気がかりな点が…。

クエスト「背信のプロローグ」「サクリファイス」で明かされた通り、オロキン時代に、Margulisはテンノ達を助けようとして、粛清されています。そして、愛するMargulisを奪われたことで、Ballasはオロキンを裏切り、センティエントHunhowに内通するようになります。

そしてHunhowは、Ballasからの情報によりテンノの存在を知り、これを抹殺すべく、NATAHを送り込んだ…という流れだと考えられます。つまり、NATAHが送り込まれた時には、既にMargulisは粛清されているんですね。このことから、元々、本来のMargulisはNATAHとは別に居たと考えられます。

Margulisが粛清されて、それからNATAHが(人間に擬態して)やって来たと。つまり、NATAH=LOTUSは、本来の意味ではMargulisではないと考えられるわけです。ところが、本人は「自分はMargulisでもある」と言っている。ここも何かあるのかもしれません。Margulisの人格が何らかの形でNATAHに影響したのか、並行世界のMargulisが何か影響したのか…。単純にDEが設定の矛盾を見落としただけ、という説もありえます。もう何年がかりで作ってますからね…。

感想とまとめ:

さて、そろそろまとめに入りましょうか。この「新たな大戦」は、本当に考察しようと思えば、細かいところまで色々と考察できるクエストです。話していくとキリがありません。

本当にこのクエストの物語は、「永遠主義理論」の登場によって複雑になっていますよね。アインシュタインの相対性理論、シュレーディンガーの猫、エヴァレットの多世界解釈、あるいはリサ・ランドールの五次元宇宙論、ブラッド・スコウ博士のスポットライト宇宙論。こういったものの影響があるのかなあ、という風に思えます。

とにかく、この「永遠主義理論」が出てきたことで、通常の因果律では解釈が困難な作りになっています。ここからどういう物語が展開していくのか…。

ただ、こういった因果関係の複雑さを(あえて)脇に置いてしまえば、結局のところ、BallasとMargulisの愛憎劇、とも言えますよね。虚栄心と嫉妬心と支配欲に駆られた一人の男が、あまりに力を持ちすぎてしまったが故に、全太陽系規模の大戦争を起こした挙句、太陽系消滅の危機まで招いてしまったと。

そうやって考えると、あのBallasの最期も、まあ…彼らしい最期なのかなあ、という気もします。

本当に、物語のスケールはめちゃくちゃデカいけれど、登場人物たちを見ていくと、センティエントもオロキン人のBallasも、本当に“人間くさい”動機で動いてたりしますよね。やってることのスケールは壮大だけれど、やってる理由はものすごく、ちっぽけというか、人間くさい。そういう話なのかなあ、と思います。

さて、これでBallasを巡る騒動は一段落したものの、オリジン太陽系には、まだまだ事件が起きていきます。次回は、「Zarimanの天使」クエストについて、物語を簡単に追ってみましょう。

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